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ヒナちゃんに滅茶苦茶可愛がられる大学生みっちのすけべ

「タケミチくん! ヒナは! 疲れました!!」
「え、あ……はい」

大学2年夏。

花垣武道は中学生の頃に付き合った彼女とズルズルと付き合ったまま大学生になり、今も付き合っている。
彼女……橘日向は美人で頭が良くて、自分なんかと何故付き合っているのかと武道は常々思うほどだった。日向は将来の夢の看護師になるために4年制の看護系大学へと進み、自分はそんな頭も良くないためにFラン私大へと進学した。高卒フリーターでも良いと思っていたのに、彼女と母親に説得されてモラトリアムを延長した武道は最低限の単位を取得しつつもバイトに精を出したり中学の頃に所属していた暴走族の総長からもらったバイクのメンテナンスや改造をしたりしていた。

のんびりと日々を過ごす武道と比較して日向は日々を忙しく過ごしており、特に看護師免許と教員免許両方を取得予定であるために必要な単位取得に邁進していた。3年からの実習に向けて、より専門的な勉強をしていく年である2年になり、疲れた顔を見せることも増えていた。
そんな日向を心配しつつも下手に気を遣うと裏目裏目に出るだろうと、武道は彼女を刺激ない方向で支えてきた。家事は得意でないが最低限自分で出来ることはして、放っておくととんでもない汚さになる部屋を彼女の手を煩わせない清潔さに保つなど、だ。彼女自身は一人で大概の事はできるスーパーレディであるため、武道にできることはストレス発散に付き合ったりする程度だ。
それでも彼女から愛想を尽かされるようなことはなく、何でこんな良い子と自分は付き合っているんだろうなぁと疑問に思う日々だった。

そんなある日、合鍵で武道のワンルームへと入ってきた日向が爆発した。

今日こそ別れを告げられるかもしれないと戦々恐々としていた武道を日向は少し潤んだ瞳で見つめ、告げた。

「なので、今日は武道くんを滅茶苦茶にさせてほしいです!!!」
「何て???」

本当に限界が近いらしい彼女から発せられた言葉に安堵よりも混乱が生じ、武道は疑問符で頭がいっぱいになった。

「えっと、オレ、どうされちゃうの?」

サンドバックになることは不良をやっていたために慣れているが、彼女が言う滅茶苦茶にするとはそういう意味ではないだろう。何よりも、彼女は単純な暴力を他人に向けることでストレスを発散できる性格でもないと武道は知っていた。
そのため、彼女の言う“滅茶苦茶にする”が武道には想像がつかない。
キスやソレ以上の事だって歳相応にしてきたが、それでも特殊性癖と言う様なことはしたことはなく、それどころか彼女のキャリアを慮って最後までするのは結婚後だと決めていた。日向は武道の母親とも仲が良いし、日向の両親や弟と武道は何度も顔を合わせている。そのため、将来はほぼほぼ決まっている様なものであるために童貞への忌避感もあまり無かった。8年も美少女と付き合っているお陰か、自身が非モテという意識もなく、そういう理由で童貞な男と自分は違うのだという卑屈な自尊心があった。
そんなほとんどオボコと言って良いであろう状態の武道に付き合っている女性からの“滅茶苦茶にしたい”という要求の中身を察するのは難しすぎた。

荷物を置いて、日向は座椅子で携帯ゲームをしていた武道に詰め寄るように近づいた。

「ぁ……

頬を撫で、顎を掬われてゾワリとした何かが武道の背筋を伝った。

「大丈夫。結婚してからって約束はちゃんと守るから。でも今日だけはヒナにタケミチくんを可愛がらせて?」
「あ、わ……ひゃい」

いつキスをしてもおかしくない距離で、日向が囁く。
まるで男女が逆転してしまった様なセリフに再び背筋がゾクゾクとして、胸の辺りにモヤモヤとした感覚が溜まる。不快感とまでは言えないけれども、心地良くはない妙な感覚に名前を付けられないまま鼓動が早くなり、呼吸が乱れる。
肌の感覚が妙に鋭くなり、日向に触れたわけでもない服が擦れる感覚まで変に感じる。

恐怖が無いわけではなかった。それでも期待感が勝っていたのだろうか、呂律が回らないながらも肯定の返事が口をついて出た。

いつの間にか床に落ちていたゲーム機にはゲームオーバーの文字が表示されていた。


♡♡♡


「あの、ヒナさん。オレ、ちょっとこれは恥ずかしいなぁ……
「んふふ、だぁめ♡ タケミチくんの恥ずかしい所、全部ヒナに見せて?」
「あうぅ……

内臓まで綺麗に洗われてしまった武道は服を着ることも許されずにベッドに寝そべらされ、万歳をした手でベッドボードのスチールの支柱を掴まされていた。足は大きく開いてM字にさせられ、普通なら人に見られることなど無い箇所を曝け出している。
縛られているわけでもなく、嫌だと思えば簡単に逃げられる。しかし、日向のストレス発散のためという名目で自分の身体を彼女の好きにさせるという行為を受け入れたために、今更抵抗するのも逆に男らしくないと武道は思っていた。あくまでも自主的に彼女のために身体を差し出しているという状況だった。

そんな状態をベッドサイドに座る服を着たままの彼女に見られている、というあまりに背徳的な状況に羞恥と興奮で目を潤ませた。

「可愛いね、タケミチくん」
「んぅっ……♡」

日向の細い指で肌を愛でられながらチュムチュムと啄むようなキスを贈られる。それだけで何だか嬉しくて、恥ずかしいのに気持ちが悦くて、頭が混乱する様な状況なのにゾワゾワとしたいやらしい怖気が背筋を伝う。
日向の柔らかな唇が皮膚の薄い箇所を撫でて、もどかしい快感に擽られる。いっそスチールを掴んでいる手を離して、抱きしめて、武道からキスをしてしまえたら。目の前で揺れる柔らかな髪を指で梳いて愛でられたら。そんな衝動に何度も駆られながらも武道は日向からの愛撫に耐えた。
キスをされるのも抱きしめてもらうのも大好きなのに、自分だけが動いてはいけないとなるだけでこんなにももどかしい、と胸の辺りが切なくなる。その切なさが嫌ではなく、しかし萌してしまっている下半身や何だかモゾモゾする感じのする胸の頂が恥ずかしい。
肌を指先で擽られ、キスの合間に恥ずかしい身体をジッと熱い視線で見られてしまうとますます切なくなって、頬が上気して涙が零れた。

「ひな、ひなぁ。オレ、もう……♡♡♡」
「あー、かわいい♡」

手を離すだけで、身体を起こして日向を押し倒すだけで、武道は簡単にイニシアチブをとることかできる。しかし、ソレをせずに身体をただ愛でられ、与えられる刺激に敏感に反応する淫蕩な様をただ彼女の眼前に晒した。
浅い呼吸を繰り返し、泣き言を言っても武道が日向を拒絶することはなかった。限界だと訴えながらも、どこかで次の施しを期待している様だと日向は思う。
日向の恋人は高校まで暴走族をやっていて、それなりに喧嘩もできる。日向をどうこうしようとすれば簡単にできるのに、それをしないのは彼女のためという名目がありつつも武道本人の意思なのだろうと日向は思っていた。

「ヒナ、前からタケミチくんにはそっちの才能もあると思ってたの」
「ふぇ?」
「いっぱい焦らされて、ひんひん鳴かされちゃって、とっても気持ちよくなる才能。きっとあるから、今日は頑張ろうね♡」
「ひぁんっ♡♡♡」

触れてもいないのに赤く充血し、主張していた乳首をきゅっと摘まむと甘い悲鳴が上がる。ビクンと腰が跳ねて、枕に頭を押し付け、喉元が曝け出された。しっかりとした喉ぼとけが見えて、日向はそこにまたキスを落とす。
そのまま首筋を唇と舌で愛でられ、武道の腰が跳ね、同時に陰茎がフルフルと揺れる。触れられてもいない先からはダラダラと透明な液体が溢れて尻の谷間を濡らし、シーツを汚した。
そんな様子が可愛くて、日向は顔じゅうにキスの雨を降らせる。
時折首筋に吸い付き、赤い痕を残せばその度に武道はビクビクと腰を揺らした。

「ん♡ んぅ♡♡ は、ぁ♡♡♡」

ひんひんと泣き声を漏らしながら武道は与えられる甘やかな快楽を享受した。
大の男が全裸を晒して、美人で可愛くて頭の良い女の子にいい様にされてしまっているという情けない状況が恥ずかしくて、それでも与えられる快楽に期待をしてしまっているという事実がより一層武道を羞恥でいっぱいにした。
万歳の態勢をしていると自然と胸筋が引き上げられ、まるでその頂をイジメてほしいとねだってしまっている様だった。日向からのリクエストでしている態勢なのに、浅ましい欲望のために自分からそんなポーズをしてしまっている様な気持ちになる。
実際、赤く充血し、ツンと尖りきった乳首は期待に震えていた。日向の細く綺麗な指によって滅茶苦茶にされてしまいたいのだと、自身の意思を勝手に身体が代弁してしまっている。

「ふっ♡ うぅ♡♡♡ ひなぁ♡♡♡ も、もぉおれぇ♡♡♡♡♡」
「んふふ♡ だぁめ♡♡♡」

乳首だけではく、下半身の屹立も涙を流して触ってほしいのだと主張しているがそちらは一向に触れてもらえる気がしない。腰を振ってねだってもそちらには見向きもせずに日向は乳首を指先でイジメながらキスだけをする。

「今日はタケミチくんの身体がひなに滅茶苦茶にされちゃう日なんだよ? ゆぅーっくり、タケミチくんの身体……おっぱいやお尻をかわいがるの♡ だから、おちんちんは我慢しなきゃ、ね? 頑張って♡」

ヘッドボードから手を離して、思い切り自身を扱いて、射精してしまいたいという欲望が頭の中をぐるぐると回る。今、そうすれば最高に気持ちがいいだろうという確信もある。
しかし、ソレをするのは日向のストレス発散に付き合うという目的から外れてしまう。可愛い彼女のエッチなおねだりなど、人生の中でしてもらえる機会がいくつあるのか。してもらえる男が人類の何パーセントなのか。
妙な男気と、彼女から触れてもらえるというすけべ心により、武道は必死にヘッドボードを掴む。

「ひん♡ んっ♡ んぅ♡♡♡ ひぁああアアッ♡♡♡♡♡」

肌を擽られるたびに甘く呻き、びくびくと身体を震わせていると不意に乳首が熱い粘膜に包まれ大きく悲鳴を上げた。

「ひなっ♡♡ ひなぁっ♡♡♡ そんな♡♡ あっ♡ あぁっ♡♡♡♡」

じゅるっ、と音を立てて強く吸い付かれ、バチバチと頭の中でスパークの様なものが奔る。言葉というものを思い出せないくらいに胸への刺激が直接脳みそを快感に染めた。
吸い付き、舌先で擽られたと思えば全体でベロリと舐められる。そのたびに硬く尖った乳首が上へ下へと転がされ、イジメられる。唇だけでふにふにと弄ばれ、かと思えば軽く歯を立てられたりして、その度に武道は涙を零しながら嬌声を上げた。

「あっ♡ らめぇ♡♡ しょんなしゅったら乳首おっきくなっちゃうぅ♡♡♡♡」
「うん、いいね♡ タケミチくんの乳首、一目でえっちされるの大好きって分かる変態さんの乳首にしちゃおっか?」
「らめっ♡ そんにゃの絶対らめぇ♡♡♡」
「どうして? ヒナ以外に見せないのにダメなの? もう銭湯だって行かないよね?」

少し身体を起こして、タプタプと指先でノックしたりクニクニと転がして潰したりの乳首への攻撃をやめないまま、日向はニッコリと笑う。中学時代の交友関係を咎めているワケではなく、純粋な疑問のようだった。

「だって、そんにゃ変態乳首にされちゃったら、オレ、もうずっとヒナにえっちなことされてたくなっちゃう……♡」

今日だけでなく、いつでも彼女に乳首責めをねだる変態野郎になってしまう、と武道は困り顔で日向を見つめる。欲情に潤んだ瞳はぼんやりとしつつも期待を隠せずに日向をとらえ、まるで言葉とは逆の事をねだっている様だと日向は思う。

「ふふ♡ 毎晩ヒナにえっちねだっちゃうタケミチくんも可愛いとヒナは思うなぁ♡」
「そんなのだめだよぉ♡ おれ、男の子なのにぃ♡♡」
「ヒナは良いと思うなぁ♡ えっちな男の子♡ 毎晩ヒナにおっぱいイジメられてひんひん鳴かされちゃうタケミチくん♡きっと可愛いよ?」
「あっ♡♡ そんにゃのらめぇ♡ そんにゃのぉ♡♡♡」

責めを続けられたまま耳元で囁かされ、思考が溶けて、エッチな妄想と期待が頭を支配する。毎晩行われる淫靡な行為を想像して武道はもう何度目かの頭の中のスパークを感じた。
男としての矜持や人としての常識を甘く柔らかく崩していく様に脳みそが煮詰められていくようだった。気持ちよくて、恥ずかしくて、絶対にダメなことなのに、ダメにされてしまいたい。

そんな武道の、期待を分かっているよ、という様に日向は乳首をイジメていた片方の指をツツツと脇腹へと下げていく。

「そっかぁ♡ ダメなら仕方無いねぇ♡」

もしかしたらソコに触ってもらえるかもしれない、という期待はすぐに裏切られ、その更に下へと指が進んでいく。

「ひな……?」

広げられた足の間で、割り開くまでもなく晒しだされた尻穴の周りを日向は指先でくるくると刺激した。乳首への責めだけで何度も絶頂を迎え、ドロドロに濡れたソコを日向は擽るように刺激する。

「タケミチくんはおっぱいだけじゃ足りないよねぇ♡ ヒナ、ちゃんと分かってるよ♡」
「ひ♡ あ、あぁ……♡」

ソコを触られることは分かっていた。ただシャワーを浴びるだけでなく、胎の中まで洗う様に言われ、素直にソレを行った時点で武道には想像がついていたハズだった。
それでも、ソコを使うという現実味は沸かないまま処理を終え、ベッドに寝転がっていた。

「ふふ♡ もうヒクヒクしちゃってるね♡ いっぱい濡れてエッチだね♡」
「うぅ……♡」

それが、日向に身体を触られているうちに、頭を作り変えられてしまった。もうソコは日向にイジメられるための場所なのだと武道は理解してしまっている。
トロトロと秘部に白濁交じりの粘液が落ち、シーツを汚す。これでは期待に濡れる女の子の様じゃないかと、わずかに残ったなけなしの思考回路が働く。

されるが儘に愛されて、キスを落とされ、胸を弄られ、秘部を濡らす。
これのどこが男だ、と。

しかしそんな思考を遮る様に、日向が口をはさんだ。

「大丈夫だよ。タケミチくんはヒナの事がだぁい好きで、ヒナの我儘を聞いてくれてるんだもんね? いいんだよ♡ タケミチくんはヒナの恋人なんだもん♡ ヒナの指でいっぱい気持ちよくなろ?」
「う、ん♡ ヒナ、おれヒナが大好きぃ♡」
「うん♡ 知ってるよ♡ ヒナもタケミチくん大好きだからね♡」

少し離していた身体を再び寄せて、日向は武道にキスをした。
唇をふにふにと合わせて、思う存分その感触を楽しみ、舌で唇を割ってより深く繋がる。絡み合う舌がヌルヌルと唾液を交わらせて、互いの境界がどこなのか分からなくなるほど長いキスをした。

「ふっ♡ うぅ♡ んむぅっ♡♡」
「んっ♡ ぁ……♡ んく♡♡♡」

舌を吸い合い、どちらからともなく惜しむように唇を離す。
熱い吐息が漏れて、もっと恥ずかしいことだってしているのにキスが一番気持ちよくてドキドキする。でも、それだけで満足なんてできなくて、触れた事の無い箇所など無くてしてしまいたいのだという欲望に胸を燻ぶらせた。

「んっ♡ あぅ……♡♡」

しなだれかかる様に身体を密着させて、武道の首筋からデコルテまでキスを落とす。そうしている間に片手は秘部へと伸ばされ、綺麗に爪の切りそろえられた指先でそのふちを焦らす様に撫でた。
濡れそぼったそこはもう排泄をする箇所であることを忘れ、今か今かと日向の指の侵入を期待していた。ヒクヒクと震えるそこを撫でながら用意していたローションの出番はないかもしれない、と日向は考える。

勢いで推し進めてしまった自覚はあるが、勢いだけでアナル開発などという相手を傷付けてしまうかもしれない行為を敢行したワケではない。
前々から日向は武道の身体を開発してみる事に興味があった。
それは彼と付き合ってみた最初の頃、そして今、武道が日向に押されて惰性で付き合っていると感じる時だった。

タイムリープという不可思議な現象でヒーローの様に自分やあの頃の皆を救った“大人の花垣武道”ではなく、等身大の武道と共にいると湧き上がる衝動の様なものだった。
大人の武道は日向のことを愛しているとハッキリと示し、好きだと言ってくれた。

日向の知らない未来で起こった12年の歳月が作り出した彼も、幸せに生きている今の武道も日向にとっては同じ人間だった。あまりにも違う人生を歩んだ先に別人の様な思考を持つことはあるだろうし、全く違う環境で育った一卵性の双子の様なものだと思う人もいるだろうと思う。
しかし、彼の根源的な心根は変わっておらず、他人のために不利な状況に立ち向かっていく優しさを日向は愛していた。そこだけは今も変わらないのだと日向は確信を持って言えた。

しかし、今の武道と未来の武道にも勿論違いがある。
双方を愛した日向が今の武道に感じる欲はその違いから生まれたものだと、日向は冷静に自己分析をしている。

今の武道に満足をしていないワケでも、不安や不満があるワケでもなかった。
ただ、圧倒的に日向への依存が足りていないと思う。過去の大変な時期を未来の武道が肩代わりし、その未来の武道を日向が支えたが故にできた二人の絆は簡単に生まれる様なものではない。そう分かってはいても、今の武道にももっと自分に夢中になって欲しいと思ってしまう。

その結果、思いついたのが身体的、精神的調教だった。
支配したいだとか、そういう欲望ではない。ただただ、もっと自分だけを好きになって、意識してほしいというだけだった。

そう、これはマンネリ防止とかそういう類の事なのだ!

と日向は武道の身体を可愛がりながら誰にともなく言い訳をする。
単純に未来の武道よりもちょっとボンヤリ生きている今の武道が可愛くてこねくり回したいだけであるかもしれない、という欲望からは目を背けておく。マンネリ防止マンネリ防止……

チュムチュムと肌に吸い付くたびにビクビクと震え、切なげに眉間にしわを寄せる武道にそろそろ進んであげないと可哀相だと考える。
焦らして焦らしすぎることはないと、秘部を濡らしながら蕩けた表情を浮かべる武道に日向は思う。しかし、そんなことをしているといくら体力自慢の武道でも最後までしないうちに気絶してしまうかもしれないという懸念もあった。
守るべきもののためなら何度でも立ち上がる男であるが、性的な事には免疫が無いので気疲れにプラスして日向の腕の中という安心感でうっかり寝てしまう可能性が無きにしも非ずだ。

「ひゃんっ♡♡♡」

思い切ってちゅぷりと指先を埋めてみれば吸い込まれるように簡単に挿ってしまった。その際に思わず、といった感じで一瞬だけ強く締め付けられたが武道の自制心のおかげで完全に力が入りきる前に力が抜かれる。
これだけ蕩かされても日向の指であるという事を意識して怪我をさせない気遣いを見せた辺りに少しドキドキしてしまう。

「ごめん、挿れる時に言えば良かったね。驚いちゃった?」
「あぅ、うん……♡ でも大丈夫だよ。ヒナも痛くなかった?」
「うん、大丈夫。動かしても大丈夫かな?」
「ん♡ 大丈夫♡」

日向自身も興奮して性急な動きをしてしまったと反省するが、その程度のヒヤリ感では武道の熱はまだ冷めていないのか声は甘く蕩けたままだった。
日向の指の動きに合わせて切なげに眉を顰め、呻くように喘ぐ。まだ前立腺どうこうの場所ではなく、ふちをマッサージする様な動きであるがとんでもない場所に触れられているという羞恥心だけで気持ちよさそうだった。

ゆるゆるとふちを広げながら今度は少しずつ中へと侵入させていく。
濡れた粘膜がきゅうきゅうと日向の指に吸い付くような動きをしつつも、早くも力の抜き方を覚えたらしく日向の指から与えられる快楽を柔らかく享受していた。身体の使い方も上手なのよね、と感心しつつ日向は武道の様子をジッと見つめた。

「ふ、ぅ♡ あ♡ あぁ……♡♡♡」

顔は耳まで真っ赤に羞恥で染めて、ビクビクと震える身体は所々を赤く染めながら大学生になってから白くなってきた肌とのコントラストを作る。のけぞり晒された喉やピンと主張する乳首をまた可愛がってあげたいけれども、今は初めてのアナルを大事にしなければと日向は欲張りな心を諫めた。

指先に時折触れる、コロコロと硬くなった箇所を甘やかに、しかし重点的にイジメれば武道の悲鳴は大きくなった。曝け出された会陰から睾丸までがぷくぷくとしていて、この中で出たい出たいと精子が暴れまわっているんだなぁ、と日向は眺める。
特に戒めているワケでもない陰茎はしっかりと前立腺責めによって反応していて、名前の通りの器官なんだなぁと少しだけ面白くなった。反り返った先からまたトロトロと先走りが溢れ、武道の最近ぷにぷにしてきた腹を濡らした。筋肉の上に付いた柔らかな脂肪も可愛らしくて、今度そこを重点的に揉ましてもらおうと心に決める。
もしかしたらお尻よりも恥ずかしがって、ダイエットなんか始めてしまうかもしれない。ジャンクな食べ物が好きな武道は食事制限が向かないので3日坊主で終わってスポーツでも始めるだろうか、と少し先の未来を思うと楽しくなってしまう。

「あっ、ひなっ♡♡ ひなぁ♡♡♡」

そんなことを考えながらも夢中で前立腺をこねくりまわしていた日向の耳に武道の切羽詰まった声が響いた。

「タケミチくん?」
「も、ごめん♡ オレだめぇ♡ おしり気持ちいいけど♡ ひなが遠いのやだぁ♡♡♡」
……ありゃ」

ついに本格的に泣き出して、武道はずっと握っていたヘッドボードを離してしまった。
そして、抱っこをねだる幼子の様に両手を日向に向けて、抱きしめてほしいと態度で懇願する。
その様が可愛らしく、尚且つ当初の目的である武道をもっと日向に夢中にさせたいという気持ちに沿っていて、日向はドクンと心臓を高鳴らせた。

「ふふ、いいよ♡ そろそろ終わろっか♡♡♡」
「ふぇ……♡」

中をイジメていた指を優しく抜いて、両手を武道の差し出した手に絡める。そして服が汚れるのにも構わずに腰の辺りを押し付ける様に武道に密着して、何も挿ってはいないのに、まるで武道が日向に犯されている様な態勢でギュウっと押しつぶした。自然と腰が上がり、まるで仰向けに潰れた蛙の様なポーズで、日向にキスをされる。
もしも日向に武道を犯すための器官があったら、これはきっと胎の奥まで挿れられて、深い場所に種付けをするためのポーズだと気付く。その瞬間にゾワリと背筋が甘く痺れ、武道は目を見開く。
頭の中で何度もはじけた星がまた瞬いて、気持ちいいという事しか分からなくなる。
触れ合う舌が、絡み合う指が、押し付けられる腰が、日向という存在でいっぱいになり、溶けて一つになる様な感覚で胸がいっぱいになる。

「んっ♡ んんんぅっ♡♡♡♡♡」

ドクドクと、長い射精が終わり、へそに溜まった精液の存在が少し気になる頃、やっと日向と武道はキスをやめてゆっくりと並んで寝転がった。

「手、離しちゃったね?」
「あ……

気持ち良さでいっぱいだった頭に冷や水とまでは言わないものの、破ってしまった約束を思い出す言葉を投げられ、武道は少しだけ冷静になる。

「どうしよっかなぁ。今日はずっと万歳のポーズって約束だったのに」
「あ、う……その
「仕方ないよねぇ、寂しかったんだもんね?」
「ごめんなさい……

ニコニコと笑いながら、日向は武道に甘える様に寄り添い、指先でいたずらをする。
怒ってはいないという安心感がありつつも、またイジメられる予感がして武道はドキドキと心臓を鳴らす。

「別に謝ってほしいワケじゃないよ? でも、どうしよっか? 約束は約束だもんね」
「うぅ……

柔らかく囁かれ、先ほどまでの非日常的な快楽が頭をよぎる。
日向のリクエストの行為であるが、武道だって散々気持ちよくさせられた。この心臓の高鳴りは期待なのだろうと自分でも分かっていた。

「あの……
「どうしたの?」
「お仕置き、してください」
「ふぅん? タケミチくんはお仕置きしてほしいんだ?」

ふふ、と笑う日向はいたずらが成功した子どもみたいな表情だった。ソレを見て、武道は自分の気持ちまでもが日向の掌の上だったのだと気付く。
ソレが嫌ではなく、未知の自分や快楽を引き出されるのが少し楽しくて、同時に彼女に良い様にされてしまうという背徳感が背筋を擽った。

「約束守れなかったオレをもっと躾けてほしい、です」
「ふふ、いいよ。次は何しようね」
……

何をされてしまうのか、その想像だけで武道はゾクリと肌が粟立つのを感じる。
日向のストレス発散に付き合う、という名目でとんでもない扉を開けてしまったのだと今更に思う。

一回きりだと思っていたわけでもないけれども、自分から次をねだってしまうなんて最初は思ってもいなかった。

まだ確定もしていない次を期待しながら、武道は日向の暖かい腕の中で眠りについた。